ドローンコラム
ドローン夜景撮影の始め方:夜間飛行の許可申請とカメラ設定のコツ
ドローンの操縦に慣れてきて「ドローンで夜景を綺麗に撮影したい!」と考えている方も多いのではないでしょうか?
ドローン空撮は、夜景の魅力をいっそう引き立てる臨場感のある映像が撮影できます。
冬のイルミネーションや夏の花火などの季節ごとのイベントとも相性が良く、SNSやプロモーションの場など、発信力を高めたい場面でも効果的です。
一方で、夜間のドローン空撮は日中以上に操縦技術と入念な安全管理が求められます。また、航空法による許可やカメラの設定など、事前に押さえるべきポイントも様々です。
そこで、本記事では100g以上の無人航空機(一般的なドローン)を対象に、夜間飛行に必要な手続きや安全対策、夜景に適した飛行や撮影のポイントをご紹介します。
ドローン夜間飛行のルール
夜のイルミネーションを空から撮影するには、まず「夜間飛行にどんなルールがあるのか」を正しく理解しておくことが大切です。
この章では、夜間飛行を行う際に押さえておくべき法令上の要件と、安全に飛ばすための準備について解説します。
この章では、夜間飛行を行う際に押さえておくべき法令上の要件と、安全に飛ばすための準備について解説します。
夜間飛行は「特定飛行」に該当
(引用:国土交通省「無人航空機 飛行許可・承認申請ポータルサイト」より)
夜間のドローン飛行は航空法上「特定飛行」にあたります。
特定飛行は多くの場合、国土交通省の許可・承認が必要であり、以下のような安全体制を整えることが求められます。
夜間のドローン飛行は航空法上「特定飛行」にあたります。
特定飛行は多くの場合、国土交通省の許可・承認が必要であり、以下のような安全体制を整えることが求められます。
・灯火の装備(機体位置を確認できる光)
・補助者の配置(条件を満たせば省略可能な場合もあり)
・飛行ルートと立入管理の計画
・異常時対応を含む運航マニュアル
機体認証と国家資格(技能証明)があれば「カテゴリーⅡB」として許可不要で飛行できる場合もありますが、イルミネーション会場のような人が集まる場所では基本的に許可・承認が必要です。
許可申請は飛行開始予定日の少なくとも10開庁日以上前が必要で、審査期間を考えると3〜4週間前には申請を済ませておくと安心です。イベント会場での撮影は、会場管理者との調整にも時間がかかるため、1ヶ月前程度を目安に準備を始めましょう。
航空法以外のルールにも注意!
航空法の許可を取っていても、それだけでは飛ばせないケースがあります。
小型無人機等飛行禁止法や自治体の条例、会場管理者が定めるルールも確認しましょう。
イルミネーションなどのイベント会場は人が多く集まるため、会場管理者の承諾や、必要に応じて警察への連絡も行っておく必要があります。
小型無人機等飛行禁止法や自治体の条例、会場管理者が定めるルールも確認しましょう。
イルミネーションなどのイベント会場は人が多く集まるため、会場管理者の承諾や、必要に応じて警察への連絡も行っておく必要があります。
なお、夜間飛行を業務として継続的に行う場合は、無人航空機操縦者技能証明を取得し、夜間飛行の限定変更を済ませておくと、カテゴリーⅡBとして許可不要で飛行できるケースが広がり、対外的な信頼性も高まります。
イルミネーション撮影のカメラ設定
ルールの確認と準備が整ったら、次は「どう撮るか」です。夜のイルミネーション撮影は、明るい光と暗い空が混在するため、露出とISO、シャッタースピード、ホワイトバランスなど、カメラの設定がとても重要です。
この章では、夜間飛行の際のカメラ設定のポイントを見ていきましょう。
露出の基本:明るい部分を基準に
イルミネーション空撮では、明るい部分と暗い部分が混在します。
「もっとも明るい部分がギリギリ飛ばないところ」に露出を合わせ、暗部は編集で持ち上げる流れが扱いやすいでしょう。
ヒストグラム表示をオンにして、右端の山がフレームアウトしない位置を探すと適正露出の目安になります。
「もっとも明るい部分がギリギリ飛ばないところ」に露出を合わせ、暗部は編集で持ち上げる流れが扱いやすいでしょう。
ヒストグラム表示をオンにして、右端の山がフレームアウトしない位置を探すと適正露出の目安になります。
ISO感度は必要最低限に
暗所撮影ではISO感度を上げれば明るくなりますが、その分ノイズも増えます。次のステップで調整するのが無難です。
ISO感度の目安
・まずは ISO800〜1600から試す
・どうしても足りなければ ISO3200前後まで
・ISO6400以上 は夜空や建物の暗部にザラつきが出やすい
シャッタースピードと絞りでできるだけ調整し、それでも不足する分をISO感度で補うという順番を意識しましょう。
シャッタースピードとフリッカー対策
動画撮影では、フレームレートの約2倍の逆数を目安にシャッタースピードを決めます(30fpsなら1/60秒、24fpsなら1/50秒)。
LEDのちらつき対策として、日本の電源周波数に合わせた調整も有効です。
東日本(50Hz)なら1/50秒や1/100秒、西日本(60Hz)なら1/60秒や1/120秒を試してみましょう。
LEDのちらつき対策として、日本の電源周波数に合わせた調整も有効です。
東日本(50Hz)なら1/50秒や1/100秒、西日本(60Hz)なら1/60秒や1/120秒を試してみましょう。
ホワイトバランスは固定が基本
ホワイトバランスは手動で固定して撮影しましょう。
夜のイルミネーションは色温度の違う光が混在するため、オートホワイトバランスだとシーンごとに色味が変わってしまいます。
暖色系を活かすなら3000〜4000K付近、白色・寒色系が多い会場なら4500〜5500K付近から調整を始めると自然な色味になります。
現場でテスト撮影を行いながら、イルミネーションの色味がもっとも自然に見える設定を見つけていくのがコツです。
夜のイルミネーションは色温度の違う光が混在するため、オートホワイトバランスだとシーンごとに色味が変わってしまいます。
暖色系を活かすなら3000〜4000K付近、白色・寒色系が多い会場なら4500〜5500K付近から調整を始めると自然な色味になります。
現場でテスト撮影を行いながら、イルミネーションの色味がもっとも自然に見える設定を見つけていくのがコツです。
飛行と安全のコツ
カメラの設定が決まったら、いよいよ実際の飛行です。夜間のイルミネーション撮影では、暗い環境での飛行特有の注意点があります。
最後に、安全に飛行するためのポイントについて解説します。
最後に、安全に飛行するためのポイントについて解説します。
飛行の動きは「ゆっくり・一定」が鉄則
夜景は暗部が多いため、機体を速く動かすとブレやノイズが強調されます。
基本は次のような動きで、光のパターンや人の流れをなぞるように撮影すると見やすい映像になるでしょう。
基本は次のような動きで、光のパターンや人の流れをなぞるように撮影すると見やすい映像になるでしょう。
基本の動き
・基本は「直線移動」
・上昇・下降はゆるやかに
・パン(水平旋回)は「ゆっくり」を意識する
会場全体を見せる俯瞰ショットと、光の回廊や建物を主役にした寄りのショットを組み合わせると、映像にメリハリも出せます。
安全確保は昼間の下見から
夜間は障害物の発見が遅れがちです。昼間のうちに下見を行い、飛行ルートと危険箇所を確認しておきましょう。
反射ベストやライトで操縦者と補助者の位置を分かりやすくしておくと、周囲の来場者にも安心感を与えられます。
反射ベストやライトで操縦者と補助者の位置を分かりやすくしておくと、周囲の来場者にも安心感を与えられます。
まとめ
夜間のイルミネーション空撮は、事前の準備とカメラ設定、飛行時の注意点をしっかり押さえれば、日中では撮れない魅力的な映像が撮影できます。
難しそうに見えるかもしれませんが、ひとつひとつのポイントに適切に対応すれば大丈夫です。
冬のイルミネーションシーズンは絶好の撮影チャンスです。準備をしっかり整えて、ぜひ夜間飛行に挑戦してみてください。
冬のイルミネーションシーズンは絶好の撮影チャンスです。準備をしっかり整えて、ぜひ夜間飛行に挑戦してみてください。
当スクールでは、夜間飛行に必要な許可の取り方から、イルミネーション撮影のカメラ設定まで、段階的に学べる講習を行っています。
「夜景空撮に挑戦したい」「もっと技術を磨きたい」という方は、ぜひ一度、お気軽に無料相談会にお越しください!