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ドローンを活用した熊対策を徹底解説! 駆除・赤外線監視・追い払いの方法とは

「毎日のように熊出没のニュースがあり不安・・」「人手不足で十分な見回りができない・・」
このように頭を抱えている自治体担当者や関係者の方は多いのではないでしょうか?
 
そんな悩みを解決する手段として注目されているのが「ドローンを活用した熊対策」です。赤外線カメラによる発見や、音を使った追い払いなど、ドローンは人と熊の安全を守りながら効率的な対策を可能にしてくれます。
 
しかし、熊対策にどのようにドローンを活用すればよいのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。
 
そこでこの記事では、ドローンを活用した熊対策について解説します。実際のドローン活用事例やドローン操縦に必要な資格や資格取得で使える補助金などもご紹介しますので、ドローンを活用した熊対策をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

ドローンを活用してできる熊対策とは

まずドローンによる熊の発見や確認という点では、赤外線カメラ(サーマルカメラ)を搭載したドローンによる実証実験が進んでいます。目視による捜索が困難な夜間や、視界の悪い深い藪の中であっても、赤外線カメラが熊の体温を感知して、効率的に発見できます。
 
また、ドローンに高倍率ズームカメラを載せれば、熊との間に安全な距離を確保したまま、個体の大きさや興奮状態などの詳細な情報を確認可能。熊との遭遇事故のリスクを減らしながら、確実な状況把握を行えます。

現状のドローンで行う熊対策は、大きく以下の3つに分類されるでしょう。
● 熊の発見・確認(捜索)
● 熊の警戒・見回り・撃退
● 熊の記録・共有

それぞれ、概要は以下のようになります。
(1)ドローンによる発見・確認(捜索)
まずドローンによる熊の発見や確認という点では、赤外線カメラ(サーマルカメラ)を搭載したドローンによる実証実験が進んでいます。目視による捜索が困難な夜間や、視界の悪い深い藪の中であっても、赤外線カメラが熊の体温を感知して、効率的に発見できます。
 
また、ドローンに高倍率ズームカメラを載せれば、熊との間に安全な距離を確保したまま、個体の大きさや興奮状態などの詳細な情報を確認可能。熊との遭遇事故のリスクを減らしながら、確実な状況把握を行えます。

(2)ドローンによる警戒・見回り・撃退
次に、ドローンによる熊の警戒・見回り・撃退です。ドローンをあらかじめ設定したルートに自動航行させることで、定期的な見回りや監視体制を省力化でき、継続的な警戒態勢を実現できます。
 
さらに、ドローンにスピーカーを搭載し、熊が嫌がる「猟犬の鳴き声」などを流して威嚇することも有効です。モンタナ大学研究チームの論文によると、ドローンによる撃退成功率が91%というデータもあり、人里に近づいた個体を山へ追い返す「攻めの対策」として注目されています。
 
他には、ドローンに動物駆逐用煙火(追い払い花火)を搭載し、音と光による威嚇で熊を追い払おうとする試みなどもあり、ドローンを活用した熊の撃退方法が模索されています。
(3)ドローンによる記録・共有
そして、ドローンによる熊の情報の記録やその情報共有です。ドローンが捉えた映像や位置情報をリアルタイムで自治体や猟友会へ配信することで、「今どこに熊がいるのか」「どちらへ逃げたのか」を全員が瞬時に把握できるため、住民の避難誘導や熊の駆除判断などの迅速な初動対応につなげられます。
 
また、蓄積されたデータは、中長期的な対策にもなる貴重な資料です。出没頻度の高い場所や移動ルートを分析することで、罠の設置ポイントの最適化や、重点的な警戒エリアの策定など、データに基づいた効果的な対策立案が可能になります。

実際のドローン活用による熊対策の事例や取り組み

ここからは、先ほどのドローンを活用した熊対策の3つの分類にもとづいて、それぞれ実際の取り組みをご紹介していきます。
 
ドローンによる熊の発見・確認・捜索の事例・取り組み
まずドローンによる熊の発見・確認・捜索の取り組みについてです。国内では秋田県、北海道、長野県、岐阜県など、熊の出没が多い地域を中心に導入や実証実験が進んでいます。
 
特に具体的な成果として注目されているのが、秋田県仙北市での実証実験です。観光名所や高校に隣接する山林で、赤外線センサーカメラを搭載したドローンによる捜索が行われました。
出典:地域DX推進ラボ/地方版IoT推進ラボホームページ 公式WEBサイト
このときの調査では熊の生息調査を目的としていましたが、人の目では確認できない茂みの中にいる野生動物(キツネ)を、赤外線センサーカメラの熱源感知により、モニター上で発見することに成功しました。熊を発見したわけではありませんが、目視できない場所でも、上空から広範囲かつ安全に捜索できる有効性が確認されました。
 
また、岩手県では「DJI Mavic 3 Thermal」などの赤外線カメラ搭載機を用いて農作物被害の状況確認や夜間の所在確認を行うなど、運用検証が行われました。AIによる自動判別機能の実装も進んでおり、今後の捜索の効率化と誤認の減少が期待されています。
 
出典:株式会社システムファイブ 公式WEBサイト
ドローンによる熊の警戒・見回り・撃退の事例・取り組み
次に、ドローンによる熊の警戒・見回り・撃退の取り組みについてです。従来の対策は「罠にかかるのを待つ」といった受動的なものが中心でした。
 
しかし、現在ではドローンを活用することで、人里に近づく前に追い払う「攻めの対策」が可能になりつつあります。自動航行による定期的な見回りで監視の隙をなくすだけではありません。
 
スピーカーや発射装置を搭載したドローンを用いて、音や光で熊を積極的に威嚇・誘導する取り組みが国内外で成果を上げています。以下にて、具体的な取り組みをご紹介します。
ドローンを使った熊対策:アメリカ・モンタナ州の音での追い払い
アメリカのモンタナ大学の研究チームは、グリズリー(ハイイログマ)を対象にドローン・車両・発射物(ゴム弾など)・訓練された犬の4つの手法での追い払い実験を行い、その効果を比較検証しました。各手法の追い払い成功率は以下の通りです。
 
● ドローン:91%
● 車両:85%
● 発射物:74%
● 訓練された犬:57%
 
ドローンの成功率が、91%と最も高い結果です。さらに、ドローンは道路や平坦な場所に限定されず、川や柵、急斜面などの障害物を越えて熊を追跡・誘導できる「機動力」の面で優位性があると評価されています。
 
この実験により、ドローンが他の方法より確実に、かつ人と熊の接触事故リスクを避けて対策できることが示されました。
ドローンを使った熊対策:岐阜県の音での追い払い
次に、岐阜県の音での追い払いの取り組みです。岐阜県は、2025年11月よりドローンを活用した本格的な「追い払い作戦」を開始しました。
 
単に音を鳴らすだけでなく、人の生活圏から奥山へ向かってドローンを飛行させ、熊を本来の生息域へと誘導する点が特徴です。具体的には、熊が忌避する「猟犬の鳴き声」などの威嚇音をスピーカーから流すほか、状況に応じて「動物駆逐用煙火(追い払い花火)」を発射します。
 
ドローンで音と光による威嚇を行うことで、物理的に熊を人里から遠ざける効果が期待されています。
ドローンを使った熊対策:レーザーでの追い払い
最後に、今後実施されるドローンを使った熊対策として、レーザーでの追い払いの取り組みをご紹介します。NTTイードローンなどが開発を進める鳥獣対策用ドローンでは、音だけでなく「光」を活用した新たな追い払い手法の導入が進められています。
 
野生動物は一定の「音」には慣れてしまう傾向があります。しかし、不規則に明滅する強力な光やレーザーは、動物にとって生理的な不快感や恐怖感を与えやすく、慣れが生じにくいとされています。
 
具体的には、ドローンが発するレーザーを目に照射することで、視覚的な不快感を与えて熊を遠ざけます。大きな音を出せない早朝・夜間の住宅地周辺や、音が拡散してしまう環境下においても、静かに、かつ遠距離から熊へ警告を与えられる新たな抑止手段として期待されています。
出典:株式会社NTT e-Drone Technology 公式WEBサイト
ドローンによる熊の記録・共有・システム連携の事例・取り組み
そして、ドローンによる熊の記録・共有・システム連携の取り組みについてです。現在、ドローンで撮影された映像は、単なる記録にとどまらず、リアルタイムな情報共有システムの一部として機能しています。
 
たとえば、福島県昭和村では、NTTドコモビジネスと連携し、ドローンが取得したデータをリアルタイムでデジタル地図上に集約する「有害鳥獣ダッシュボード」を導入しました。住民からの目撃情報を受けて出動したドローンが、上空から熊を発見すると、その正確な位置情報(緯度・経度)や映像をダッシュボードへ即座に送信・プロットします。
出典:福島県昭和村 公式WEBサイト
映像を自治体の災害対策本部や地元の猟友会へ即座に伝送することで、「どこに熊がいるか」「どの方向に逃げたか」を関係者全員が同時に把握可能。これにより、住民への避難指示や捕獲の判断を迅速に行うことができ、地域全体の防災システムとの連携も進んでいます。

ドローン操縦に必要な資格とは

ドローンの操縦自体に法的な免許制度はありません。しかし、熊対策の現場で不可欠となる「夜間飛行」や、モニターを見ながら遠隔操作する「目視外飛行」は、航空法で規制された「特定飛行」に該当するため、原則として国土交通省の許可・承認が必要です。
 
許可・認可の取得のための煩雑な手続きをクリアするために役立つのが「操縦資格」です。しかし、「民間資格」と「国家資格」では、効力に大きな差があります。
 
従来の民間資格は、あくまで技能の証明にとどまり、法的な手続きを省略することはできません。対して「国家資格(無人航空機操縦者技能証明)」は、保有することで許可・承認申請の手続きが大幅に簡略化、あるいは免除されます。
 
特に熊対策業務でおすすめなのが「二等無人航空機操縦士」です。最上位の「一等」は街中を飛ばすための難関資格ですが、熊対策の主戦場である山林(無人地帯)であれば、「二等」で十分に法的要件をカバーできます。
 
事業としてドローンを活用するのであれば、緊急時の迅速な出動が可能になる「国家資格(二等)」の取得がおすすめです。これから国家資格の取得を検討される方は、国土交通省登録講習機関の「ドローンスクール埼玉レイクタウン」へご相談ください。
 
二等資格の取得コースはもちろん、自分に合った資格や活用法について相談できる無料体験会も開催しています。
 

ドローンの資格取得で使える補助金・助成金

ドローンの国家資格取得には、国(厚生労働省)の補助金・助成金制度を活用できる場合があります。ただし、補助金・助成金制度は、原則として法人などの「雇用保険を適用している事業主」が対象で、趣味目的の個人は対象外となる点にご注意ください。
 
ドローンに関連する補助金・助成金制度は様々なものが用意されていますが、企業が従業員の資格取得を支援する際、最も活用しやすいのが「人材開発支援助成金」です。人材開発支援助成金には、主に以下の2つのコースが用意されています。
 
● 事業展開等リスキリング支援コース
● 人材育成支援コース
 
熊対策などの新規事業に伴って従業員にドローン操作技術を習得させる場合は、「事業展開等リスキリング支援コース」が最適です。中小企業なら、経費の最大75%に加え、訓練中の賃金も助成されるため、技術習得までに必要な費用負担を大きく軽減できます。
 
一方、より汎用的に利用できるのが「人材育成支援コース」です。助成率はリスキリング支援コースよりも低くなりますが、対象範囲が広く、通常の職務能力向上の一環として利用しやすい内容となっています。
 
どちらのコースも受講開始前の計画の届出が必須です。自社がどのコースを利用できるか、まずはスクールへ相談してみることをおすすめします。
 

ドローンスクール埼玉レイクタウンのドローン無料体験

ドローンは赤外線カメラによる捜索や、音を用いた追い払いなど、人と熊の安全を守るための有効な手段です。一方で、視界の悪い山林や夜間における飛行は、衝突や墜落のリスクと隣り合わせの高度な技術が求められます。
 
また、熊対策を目的とした飛行は航空法上の「特定飛行」に該当します。法令を遵守しながら安全かつスムーズに業務を行う上では、許可申請を簡略化できる「国家資格」の取得がおすすめです。
 
ドローンによる熊対策を検討している方は、ぜひドローンスクール埼玉レイクタウンの無料体験会にご参加ください。天候に左右されない屋内コートでドローンの基本操作を体験できるほか、業務利用を想定した資格の選び方もインストラクターへ直接ご相談いただけます。
まずは実際に機体に触れ、ドローン活用の可能性をご体感ください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。